夏と言えばホラーだよね。
まぁリ○グとか○怨とかは見た事あるし、小説でも楽しめるだろう。
「じゃあ、ホラーでお勧めの作品とかある?」
「え、ホラーですか?」
瞬間、彼女の顔が明るくなったのを感じた。
「ホラーなら、このアタックオブザキュウカンバーとかどうですか?」
彼女が取り出した本の表紙にはキバの生えたキュウリが人を食ってる絵が描かれている。
正直表紙だけでお腹が一杯だ。
「ちょっとそれはいいや、別のはなんかない?」
「別の…ですか。これ…面白いのに…」
彼女は心底残念に本を棚に戻した。
そうして彼女にホラー小説を紹介してもらっているうちに、気が付けば目の前にはホラー小説の山が出来ていた。
しかも、わざとなのか本気なのか有名な作品は一切無く、
流行の斜め上を言ったような要するにB級作品ばかりが集められている。
「えと、あのもういいよ。どうもありがとう!」
「もう…いいんですか…?」
「うん、これだけ紹介してもらえれば十分だよ」
というか十分すぎる。
「そうですか…それでは是非それ全部借りていってください…」
「え?」
微笑みながら彼女は言う。でもこれ全部で20冊はあるんだけど。
「こ、こんなに借りて平気なのかな?」
「大丈夫…私、図書委員長ですから…」
そして俺は半強制的にB級ホラーの山を持ち帰ることになった。
昼休み終了の鐘が鳴り響く。
「あ、もう教室にもどらないと」
俺は両手に本の山を抱えると、図書室を出ようとした。
そこで、俺はまだ彼女の名前を聞いていないことに気が付いた。
「そう言えば、俺高橋って言うけど。君は名前なんて言うの?」
「私…ですか?」
「うん」
「青木梓です…」
「青木さんて言うんだ。またお世話になると思うけどその時はよろしく」
そう言うと俺は図書室を出た。
ドンッ
「ふう」
借りて来た本の山を机の上に置く。正直ここにもってくるだけで一苦労だ。
家まで持っていくと思うと気が遠くなる……
「ちょっと、あんた馬鹿じゃないの?」
喧嘩はいつの間にか終わっていたらしく、隣の席の上原はそんな俺を見て冷ややかな視線を向けてきた。
正直、反論できない。
午後の授業も終わり、放課後になった。
さて、これからどうしたものだろう。
1,まっすぐ家に帰る ←
2,もう少し教室にいる ←
3,寄り道をして帰る